【遺言の失敗事例】自筆証書遺言の落とし穴
自分で書いた遺言書は危険!?自筆証書遺言の落とし穴
私の父は80歳と高齢で今は元気なのですが、近年は病気を患い、入退院を繰り返すなど体調にも不安を覚えるようになってきました。父も自分の先がそう長くないと自覚しているようで、先日から自分で遺言の書き方を勉強し、実際に遺言書を書いている様でした。
先日、父から家族に対して「私にもしものことがあったら遺言を残しているので、それに則って遺産分割をして欲しい」という話がありました。色々な人に相談して書いていたようですが、相続の専門家に相談していた様子は無く、全て自分で作成したようです。
自筆証書遺言は、間違いが見つかったら全て無効になってしまうということを聞いたことがあるのですが、父が書いた遺言書も正しく書けているかどうか不安です。どうすればよいのでしょうか。
当事務所の回答
現在、遺言に関する情報はインターネットや書籍等であふれており、誰でも気軽に書けるものになってきています。民法の所定形式に則って作成すれば、プロへの相談料や手数料をかけずに遺言書を作成できてしまいます。
遺言は、遺言者の自由な意思によってなされるものですが、残された方々の生活に多大な影響を与えるものであるため、民法で正式な要式が決められており、上記の質問にもあるように、これに様式不備や間違いがあると無効になってしまうことも少なくありません。自筆証書遺言には、様々な落とし穴があるために、結局相続人の意図通りに相続が行われず、相続財産を巡って相続人同士で紛争になってしまうことも多く見られます。
1.変造・破棄されてしまう
自筆証書遺言書は誰かに預ける事が無い為に、相続人に簡単にばれない範囲内で大切に保管しておかなければなりません。
相続は、様々な人物がそれぞれの私情が複雑に絡み合うので、ほとんどの相続人が納得・了承している被相続人の意向も、ある一人にとっては好ましくないことであるということもあるはずです。その一人が、被相続人が生前残した遺言書を見つけ出し、他の相続人にばれないように捨ててしまったり、内容を書き換えてしまうことがあります。
2.正式な形式に則って作成されなかったので、遺言書として認められない
自筆証書遺言には書き方に決まりがあります。「全文を自筆で記入する」「日付を記入する」「名前を書く」「印を押す」これらが守られている場合には基本的に、有効な遺言書として認められます。
しかしながら、どこかに間違いがあった場合や、内容に不明瞭な点が複数あり、逆に相続内容が不明確になっている場合には結局遺産分割協議が必要になってしまい事もあり、遺言を残しておくメリットがなくなってしまいます。
よって、遺言残しておく場合には、全て一人で作成しようとせず、相続遺言の専門家に相談することをお勧めします。特に、当事務所はこれまで多くの遺言書作成のサポートをしてきた経験を踏まえて、後々問題にならないためのポイントをしっかりと抑えて遺言を作成するお手伝いをさせていただいております。安心して当事務所にご相談ください。
この記事を担当した司法書士
福岡中央司法書士事務所
代表
森 浩一郎
- 保有資格
司法書士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託
- 経歴
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福岡中央司法書士事務所の代表を務める。平成11年2月に「福岡中央司法書士事務所」を開業。相続の相談件数約950件の経験から相談者の信頼も厚い。