遺留分制度の見直し
改正の内容
遺留分制度とは、遺言や生前贈与などによって法定相続分どおりの遺産を受け取ることができなくなった相続人が、多くの遺産を取得した相続人に対し「遺留分減殺請求」をすることによって、法律で決められた割合までの遺産を受け取ることができるという制度です。相続人の最低限の権利・生活を保障するための制度です。
この制度の問題点として、以下の点などが指摘されていました。
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①遺留分減殺請求権の行使によって遺産の共有状態が発生する
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②権利関係が複雑になることで争いの解消が難しくなり、裁判などによる解決が長期化する
こうした問題を受けて、今回の相続法改正による遺留分制度の見直しによって、次のようになりました。
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①遺留分を侵害された者は、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることができるようになる
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②遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに準備することができない場合には、裁判所に対し、支払期限の猶予を求めることができる
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改正によるメリット
遺留分制度の見直しによって、たとえば自宅と預貯金が相続財産であった場合には、遺留分減殺請求よって自宅や預貯金が共有状態になることはなく、金銭の支払いで解決することになります。相続の争いが複雑化することが少なくなると思われます。
この記事を担当した司法書士

福岡中央司法書士事務所
代表
森 浩一郎
- 保有資格
司法書士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託
- 経歴
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福岡中央司法書士事務所の代表を務める。 平成11年2月に「福岡中央司法書士事務 所」を開業。相続の相談件数約950件の経 験から相談者の信頼も厚い。