上手な遺言書の利用法は?遺言書を書くべき理由と注意点を解説 | 福岡相続手続き相談センター
【この記事でわかること】
■法律上の遺言書の扱い
■遺言書を書くべき理由
■遺言書を書くにあたっての注意点
遺産相続に関して、死ぬ前に出来る事というとまず遺言書を頭に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
ただ、遺言書と聞くと「遺言書はお爺さんおばあさんが死ぬ間際に書くもの」という印象がつよい方もいるかと思います。
しかし、遺言書はなるべく早いうちから書いておくに越したことはない、若いうちからできる生前対策の一つなのです。
そこで今回は、
「遺言書は何歳からかけるのか」
「遺言書によって何ができるのか」
「遺言書を書くにあたって注意するべきことは何か」
といった疑問にお答えしていきます。
兄が死亡し、相続人として自分の他に連絡先も分からない甥姪がいたケース
遺言書は何歳から書ける?
遺言をいつから残せるかというのは民法961条で
「15歳に達した者は、遺言をすることができる。」
というように定められています。
一般的に本人の意思で法的な契約などを行う際に必要とされる通常の「行為能力」である20歳より低い年齢で設定がされています。
遺言というのは、できるだけ遺言者の最期の意思を尊重して相続を行おうという制度になります。
そのため、遺言の意味さえわかる年齢であれば、通常の法的な契約等に必要とされる行為能力(20歳)までは必要なく、15歳という年齢が定められています。(15歳などの年齢は財産などがないため死後の自分の希望を残すことが多くあります)
そういった思いから、「15歳に達した者であれば遺言を残すことができる」と定められています。
【自己診断】遺言書必要度チェック
まだまだ一般の方には馴染みの薄い遺言書ですが、実は“遺言書を作成しておいた方が良かった”という代表的なケースが下記のように多く存在します。
一度ご自身の家庭環境に照らし合わせて検討してみましょう。
一つでも当てはまる方は要チェックです!
□ 子どもがいない |
□ 相続人が一人もいない |
□ 相続人の数が多い |
□ 内縁の妻(または夫)がいる |
□ 自分が死んだ後の妻(または夫)の生活が心配だ |
□ 相続人の中に行方不明者がいる |
□ 世話を焼いてくれた嫁(または婿)がいる |
□ 障害をもつ子どもに多くの財産を与えたい |
□ 家業を継ぐ子どもがいる |
□ 遺産のほとんどが不動産だ |
□ 自分でもどのくらい遺産があるかよくわからない |
□ 再婚など、家族構成に複雑な事情がある |
□ 隠し子がいる |
□ 遺産を社会や福祉のために役立てたい |
□ 相続に自分の意志を反映したい |
□ 特定の人だけに財産を譲りたい |
□ 推定相続人以外に相続させたい |
□ 財産を予め同居している子の名義にしておきたい |
遺言書でできることとは?
遺言により法的な効力を生じさせることができる事項は、民法で下記の通り決められています。
1)財産の処分に関すること
第三者への遺贈 |
お世話になった人など相続人以外の人にも財産を贈与することができます。 |
社会に役立てるための寄付 |
社会福祉団体や公的機関や菩提寺などに財産を寄付することができます。 |
信託の設定 |
信託銀行などに財産を管理・運用してもらうための信託設定をすることができます。 |
2)相続に関すること
法定相続分と異なる相続分の指定 |
法定相続分とは異なる相続割合を希望する場合に、相続人それぞれの相続分を指定することができます。 |
相続人ごとに相続させる財産の指定 |
相続人それぞれに、誰に何の財産を相続させるか指定することができます。 |
遺産分割の禁止 |
5年間遺産分割を禁止することができます。 |
生前贈与、遺贈の持戻しの免除 |
生前に行った贈与などは、通常相続から調整されることになりますが、遺言によってそれを免除することができます。 |
遺留分の減殺方法の指定 |
相続人の遺留分が侵害された場合、遺贈等の減殺の順序や割合を指定することができます。 |
共同相続人間の担保責任の減免・加重 |
遺産分割後にその相続を受けた財産に欠陥があって損害を受けた時、相続人同士はお互いの相続分に応じて保障しあうことが義務となっていますが、遺言でその義務を軽減したり加重することができます。 |
遺言執行者の指定 |
遺言の内容を実際に執行してもらう人を指定することができます。 |
3)身分に関すること
認知 |
婚外の子を認知することができ、認知された子は相続人となることができます。 |
法定相続人の廃除 |
相続人を廃除したり、また廃除の取り消しができます。 |
未成年後見人、未成年後見監督人の指定 |
相続人に未成年者がいて親権者がいない場合は、遺言によって未成年後見人、未成年後見監督人を指定することができます。 |
4)祭祀の承継(仏壇やお墓を任せる方の指定)
以上のことは遺言書に書くと、法的な効力を発揮します。
しかし遺言書には他に何も書けないのかと言うと、そんなことはありません。
「付言事項」として、遺言者の希望や思いを書き綴ることができます。
付言事項には、法的な効力はなく何の強制力もありませんが、相続人にとっては大変意味のあるメッセージとなります。
それにより、無用な相続争いを防ぐ効果もあります。
遺言書を作成するにあたって知っておくべきこと
遺言書の種類
一口に「遺言書」と言ってもいくつかの種類があります。
これから遺言書を書こうと思っている方は「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の二つの特徴を理解しておきましょう。
遺言書を書く目的や、遺言書にかけたい費用、遺言書にかけられる手間や時間、こうした様々な要因からその人ごとに利用するべき遺言種の種類は異なります。
以下がそれぞれの遺言書のメリット・デメリットになります。
自分で作成できる自筆証書遺言と第三者に作成してもらう公正証書遺言は、どちらにもメリット・デメリットがありますが、相続の専門家としては、後者の公正証書遺言をお勧めします。
自分で作成する自筆証書遺言では、書き方によっては法的な要件を満たさず無効になってしまったり、相続の手続きに使えなくなってしまったりするケースがあります。
反対に公正証書遺言の場合は、法律や税務の知識に精通している専門家と一緒に作成するため、遺言書が無効になってしまう心配はなく、さらに原本が公証役場で保管されるため、紛失や捏造の恐れがなく、ご自身の遺言を確実に遺すことができます。
遺言の保管
遺言によって自らの意思を実現するためには、その遺言書を相続人に見つけてもらわなければなりません。
発見してもらえなければ、せっかく作成した遺言は何の効果もありません。
加えて、破棄されたり、勝手に書き換えられたりすることなく相続人に届くようにする必要があります。
従って遺言者が亡くなった後に、相続人の方々が遺言書をすぐに見つけられるような場所に保管すべきです。
遺言書の保管方法は公正証書遺言か、自筆証書遺言かによって利用できる制度が異なります。
それぞれの特徴と方法について、事前に確認しておくことをおすすめします。
遺言書を書く際の注意点
遺言書を書く際にはいくつか注意するべき点があります。
まず一つ上げられるのが、「相続関係や相続財産の関係性が複雑」な場合に遺言書の想いが叶わない可能性があることです。
以下のような状況にある場合には、遺言書の内容を自分だけで考えたり人に相談せずに書いたりすると思わぬ形で「遺言書が不公平である」「遺言書が適当だと認められない」と訴えられる場合があります。
このような状況にある場合、遺留分の侵害や遺産分割調停などにより、遺言書で達成しようとしていた想いが叶えられない危険性が高まります。
二つ目に上げられるのが、遺言書そのものが規定や規格を満たしておらず、法的に無効になる可能性があることです。
そもそもその遺言書が法的に効力を発揮できる状態になく、法的な遺言書として認められないという場合です。
このようなケースではせっかく書いた遺言書はまったくもって意味をなさなくなり、時には想定していなかった遺産相続争いに発展する場合もあります。
このようなことに陥らないためにも、まずは一度相続に詳しい専門家に相談してみましょう。
「既に自分で遺言書を書いており、規格についてもきちんと調べて書いたはずだ!」とおっしゃるお客様が多くいらっしゃいますが、そのほとんどは「記述として自分の想いを実現できる形で書くことができていない」または「必須の事項が抜けていて規格を満たしていない」という状態だというのが現実です。
専門家の話を聞きに来たことで最悪のケースを回避できた事例も数多くありますのでぜひ一度専門家に相談することをおすすめしています。
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当事務所にご依頼いただいたお客様の声を一部ご紹介します。
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遺言書作成サポート
まずは自筆証書遺言または公正証書遺言の作成をサポートする「遺言書作成サポート」の料金になります。
サービス内容最下部の「証人立会い」というものは公正証書遺言の場合に必要となるものですのでご参考にください。
サービス内容 | 費用 |
---|---|
遺言書作成サポート(自筆証書) | 50,000円~ |
遺言書作成サポート(公正証書) | 50,000円~ |
証人立会い | 15,000円/名 |
※ 公正証書遺言の場合、当事務書の報酬と別に公証役場の手数料が必要になります。
※ 財産の総額が5,000万円までとなります。5,000万円を超える場合は1,000万円毎に約1万円が加算されます。
※ 急を要する場合、通常の業務に優先して業務を行う必要がある場合は、報酬が一定割合加算されます。
相続対策丸ごと代行サービス
次に、以下のようなことにお悩みをお持ちの方向けのサポートサービスになります。
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このようなお悩みをお持ちの方向けに、当事務所ではただ単に遺言書の作成を代行するような業務ではなく、お客様が後悔しない最適な生前の相続手続きを実施するためのサービスを考案いたしました。
上記サービスを「相続対策丸ごと代行サービス」という商品として用意させていただきます。
相続対策丸ごと代行サービスとは、お客様の生前の相続手続きに関する問題や課題を解決し、お客様の意向を達成するための最適な生前手続き(遺言、贈与、保険など)をサポートさせていただくサービスです。
相続財産の価額 | 報酬額 |
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2,000万円未満 | 15万円 |
2,000万円~4,000万円未満 | 財産額の0.5%+6万円 |
4,000万円~6,000万円未満 | 財産額の0.45%+8万円 |
6,000万円~8,000万円未満 | 財産額の0.4%+11万円 |
8,000万円~1億円未満 | 財産額の0.35%+15万円 |
1億円~ | 財産額の0.5%~ |
お問合せ方法
お問い合わせは下記フォーム、またはお電話からお寄せください。
この記事を担当した司法書士
福岡中央司法書士事務所
代表
森 浩一郎
- 保有資格
司法書士
- 専門分野
-
相続・遺言・民事信託
- 経歴
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福岡中央司法書士事務所の代表を務める。平成11年2月に「福岡中央司法書士事務所」を開業。相続の相談件数約950件の経験から相談者の信頼も厚い。