遺産分割を行わないまま数年が経過したケース

Ｍさんは、お父さんの相続について遺産分割協議をしないまま放置していました。というのも、お母さんが認知症で、遺産分割協議をするためには、お母さんに成年後見人をつけなければならず、その手続きがかなり面倒だと聞かされていたからです。

お父さんの死亡から数年後、Ｍさんは、お父さん名義の自宅について相続登記をしなければならない事情が発生しました。相続登記の前提としてお父さんの相続人全員で遺産分割協議をしなければなりませんが、その時にはお父さんの相続人の一人である弟が死亡し、さらに相続が発生していました。

そこで弟家族に連絡をとったところ、弟の子どもの一人が音信不通で連絡がつかないとのことでした。

司法書士に相談してその子どもの住所を調べてもらい手紙を出しましたが、その住所には住んでいないようで配達はされませんでした。その後、司法書士に家庭裁判所の手続きをとってもらうことで何とか遺産分割協議は完了したものの、かなりの時間と余分な費用がかかる結果となりました。

福岡中央司法書士事務所代表 森浩一郎

保有資格	司法書士
専門分野	相続・遺言・民事信託
経歴	福岡中央司法書士事務所の代表を務める。平成11年2月に「福岡中央司法書士事務所」を開業。相続の相談件数約950件の経験から相談者の信頼も厚い。