遺言はいつから書き始めればいい?若いうち(20代30代)から遺言書を書くべき理由とは! | 福岡相続手続き相談センター
【この記事でわかること】
■法律上の遺言書の扱い
■若い人であっても遺言書を書くべき理由
■若い人が遺言書を書くタイミング
遺産相続に関して、死ぬ前に出来る事というとまず遺言書を頭に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
ただ、遺言書と聞くと「遺言書はお爺さんおばあさんが死ぬ間際に書くもの」という印象がつよい方もいるかと思います。
しかし、遺言書はなるべく早いうちから書いておくに越したことはない、若いうちからできる生前対策の一つなのです。
そこで今回は、
「遺言書は何歳からかけるのか」
「遺言書はいつごろから書き始めるべきなのか」
「なぜ若い人も遺言書を書くべきなの」
といった疑問にお答えしていきます。
兄が死亡し、相続人として自分の他に連絡先も分からない甥姪がいたケース
遺言書は何歳から書ける?
遺言をいつから残せるかというのは民法961条で
「15歳に達した者は、遺言をすることができる。」
というように定められています。
一般的に本人の意思で法的な契約などを行う際に必要とされる通常の「行為能力」である20歳より低い年齢で設定がされています。
遺言というのは、できるだけ遺言者の最期の意思を尊重して相続を行おうという制度になります。
そのため、遺言の意味さえわかる年齢であれば、通常の法的な契約等に必要とされる行為能力(20歳)までは必要なく、15歳という年齢が定められています。(15歳などの年齢は財産などがないため死後の自分の希望を残すことが多くあります)
そういった思いから、「15歳に達した者であれば遺言を残すことができる」と定められています。
実際に遺言書を書いてるのは何歳くらいの人?
遺言は15歳から残すことが出来るとはいえ、実際には平均として何歳ぐらいの方が書いているのでしょうか?
我々が一般的に考える「遺言書=老人」という考えはどこまで正しいのでしょうか?
当事務所で実際に遺言書作成を依頼された方の年齢をグラフで表してみました。
当事務所の遺言書作成平均年齢は73歳!?
当事務所での実績を見る限りでは、60代より上の高齢者が3/4を占めており、やはり高齢者の割合が多いことがわかります。
一方で、30代~50代で遺言書を書かれている方もいらっしゃることがわかるかと思います。
長年にわたり司法書士として多くの相続・相続争いに関わってきた身からすると「遺言書は早く書くに越したことはない」というのが結論になります。
では、なぜ遺言書は早くから書くに越したことはないのでしょうか?
遺言書は若いうち、20代30代のうちから書くべき?
「遺言書を若いうちから書く」と言われても、なぜ書くべきなのかピンとこない方が多いかと思います。
そこでここでは遺言書を書いていなかった場合に考えられるリスクを大きく二つ紹介します。
【リスク①】突然の死による財産の凍結
若いからと言って、必ず明日も元気に一日を終えられるとは限りません。
突然の事故や、突発的な発作・病気等によって、若くして命を落としてしまうということがないとは言い切れないのが現実です。
そのような形で突然亡くなってしまった場合、その後に困ってしまうのが残された配偶者や家族になります。
誰かが亡くなると、各銀行や法務局等に連絡を行うことで相続手続きが開始されます。この相続手続きが開始されると相続の対象になる財産が凍結されてしまうのです。
分かりやすく言えば、「これまで貸していた・借りていた不動産の契約更新ができなくなる」「預貯金の口座が凍結され預け入れや引き出しができなくなる」といった弊害が発生するということです。
ここで相続手続きがすんなり終わればよいのですが、配偶者と義理の父母の間で相続をめぐる相続争いが発生するような場合相続手続きの完了まで長くかかってしまう場合があります。
その場合、配偶者が働いていない場合には突然金銭的に困窮することになる可能性があります。
こういった事態を防ぐことができるのが遺言書になります。
若いうちから遺言書を作成しておくことで、こうした配偶者の悲劇を未然に防ぐことができるようになります。
突然の死はあまり考えたくないものですが、死後の配偶者の生活や両親と配偶者の関係性など様々な問題をクリアにするためにも若いうちから遺言書を書いておくことが肝要になります。
【リスク②】若年性アルツハイマー等による行為能力の低下
若年性アルツハイマーや不慮の事故等により意思能力・法的な行為能力が低下してしまうことがあります。
そのように意思能力・行為能力が低下した後には、遺言書は法的に無効とされてしまうことになります。
そのため、本人としてはまだ健康で遺言書を書けると思っていても、病名や診断がされてしまっているがために遺言書を書くことができないという状態に陥ることがあります。
こうした状態で遺言書を書けなかった結果、上記のように残された遺族間での相続争いに発展してしまう可能性が残ってしまうのです。
こういった事態に陥らないためにも、大きな財産を持っている方やどうしても特定の誰かに将来的に財産を継がせたいと考えている方は若いうちから遺言書を書いておくことをおすすめしています。
以上二点が、「若いうち、20代・30代から遺言書を書くべき理由」になります。
遺言書を一つ用意しておく、それだけのことで自分の大切な人の自由な生活・安心した生活を守ることができるようになります。
若い世代で遺言書を書くという方が増えている理由もここにあります。
ぜひ、自分の大切な人のために今のうちに、若いうち、20代・30代のうちから遺言書を書き始めましょう。
遺言書に「早すぎる」ということは一切ありません。
よくある遺言書を検討するタイミング
遺言書をむやみやたらに書くという人は少ないかと思われます。
実際に若いうちに遺言書を作成される方は、人生のなかで大きなライフイベントや節目が訪れた際に遺言書を書くことを検討される方が多いようです。
ライフイベントや節目とは具体的に、
・就職
・結婚
・家の購入
・出産
・退職
・配偶者をなくした時
といったようなタイミングのことをここでは言っています。
上記のようなタイミングで遺言書を残される方が多いのは以下のような理由からになります。
それぞれ詳しく説明していますので参考にしてみてください。
結婚や出産などのタイミング
「相続関係が大きく変わる」ため遺言書を残す方が多い傾向にあります。
・子供がいない場合は配偶者のみならずご両親やご兄弟も相続人となります。
・子供がいる場合は、配偶者と子供が相続人となります。
・相続争いを避けたいというケースが多くなります。
家の購入、退職
「財産が大きく変化する」ため遺言書を残す方が多い傾向にあります。
・不動産という大きな財産のためローンの有無、同居人などにも左右されます。
・不動産は有形であり分割して相続することが難しい財産であるため、予め誰に相続するかを指定しておく必要があります。
配偶者をなくした時
「相続関係が大きく変わる」ため遺言書を残す方が多い傾向にあります。
・配偶者がいる場合はあまりトラブルになりませんが、配偶者がいない場合、子供だけが相続人となるとトラブルになるというケースが多くあります。
・子供が未成年の場合は特に、本人たちで解決するには難しい問題となるため、予め遺言書を残す方が多くなります。
というような形で、様々なライフイベントや節目で遺言書を書くという決断をされるようです。
こういった形で遺言書を作成されることは、冒頭に述べた「遺言書は早く書くに越したことはない」という司法書士の視点を体現したものになります。
遺された人のためにも、若いうちから遺言書を書いておくことが大切になります。
急増する遺言書の作成の件数
遺言書を作成する件数が現在とても増えてきています。
具体的な件数は、
暦年 |
遺言公正証書作成件数 |
平成21年 |
77,878件 |
平成22年 |
81,984件 |
平成23年 |
78,754件 |
平成24年 |
88,156件 |
平成25年 |
96,020件 |
平成26年 |
104,490件 |
平成27年 |
110,778件 |
平成28年 |
105,350件 |
平成29年 |
110,191件 |
平成30年 |
110,471件 |
平成21年と平成30年を比較すると約1.4倍と上昇しています。
これらの数字から今後も遺言書作成の件数が増加していくと考えられています。
遺言書作成件数の増加の背景としては、遺産相続をめぐる争い(争族)があると言われています。
ではなぜ争族が増加しているのか。背景は主に2つあります。
【背景①】兄弟姉妹間の疎遠、長男相続への抵抗
子供たちが大人になり子供が生まれるとなると疎遠になるというケースも多くあります。
疎遠のため事情を知らないまま相続が発生すると今までの不平不満が募りもめるというケースがあります。
また長男相続ということに抵抗感を覚える人も少なくありません。
現代の流れとして兄弟平等を受け入れることが出来ないという人も少なからずいるため争族が発生します。
【背景②】権利意識の高まり
年齢が若ければ若いほど、「自分」に重きを置きます。
家の存続のために「自分」を殺すという考えが希薄な今、企業のオーナーなどとは違い財産が大きい不動産などは分配が難しいため個人個人の主張が強くなります。そのため争族が発生します。
いかがでしょうか。
残されたご家族や親族がもめないように遺言を若いうちから作成することはとても重要となります。
20代30代で遺言書を作成するにあたって知っておくべきこと
遺言書の種類
一口に「遺言書」と言ってもいくつかの種類があります。
これから遺言書を書こうと思っている方は「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の二つの特徴を理解しておきましょう。
遺言書を書く目的や、遺言書にかけたい費用、遺言書にかけられる手間や時間、こうした様々な要因からその人ごとに利用するべき遺言種の種類は異なります。
以下がそれぞれの遺言書のメリット・デメリットになります。
自分で作成できる自筆証書遺言と第三者に作成してもらう公正証書遺言は、どちらにもメリット・デメリットがありますが、相続の専門家としては、後者の公正証書遺言をお勧めします。
自分で作成する自筆証書遺言では、書き方によっては法的な要件を満たさず無効になってしまったり、相続の手続きに使えなくなってしまったりするケースがあります。
反対に公正証書遺言の場合は、法律や税務の知識に精通している専門家と一緒に作成するため、遺言書が無効になってしまう心配はなく、さらに原本が公証役場で保管されるため、紛失や捏造の恐れがなく、ご自身の遺言を確実に遺すことができます。
遺言の保管
遺言によって自らの意思を実現するためには、その遺言書を相続人に見つけてもらわなければなりません。
発見してもらえなければ、せっかく作成した遺言は何の効果もありません。
加えて、破棄されたり、勝手に書き換えられたりすることなく相続人に届くようにする必要があります。
従って遺言者が亡くなった後に、相続人の方々が遺言書をすぐに見つけられるような場所に保管すべきです。
遺言書の保管方法は公正証書遺言か、自筆証書遺言かによって利用できる制度が異なります。
それぞれの特徴と方法について、事前に確認しておくことをおすすめします。
遺言書を書く際の注意点
遺言書を書く際にはいくつか注意するべき点があります。
まず一つ上げられるのが、「相続関係や相続財産の関係性が複雑」な場合に遺言書の想いが叶わない可能性があることです。
以下のような状況にある場合には、遺言書の内容を自分だけで考えたり人に相談せずに書いたりすると思わぬ形で「遺言書が不公平である」「遺言書が適当だと認められない」と訴えられる場合があります。
このような状況にある場合、遺留分の侵害や遺産分割調停などにより、遺言書で達成しようとしていた想いが叶えられない危険性が高まります。
二つ目に上げられるのが、遺言書そのものが規定や規格を満たしておらず、法的に無効になる可能性があることです。
そもそもその遺言書が法的に効力を発揮できる状態になく、法的な遺言書として認められないという場合です。
このようなケースではせっかく書いた遺言書はまったくもって意味をなさなくなり、時には想定していなかった遺産相続争いに発展する場合もあります。
このようなことに陥らないためにも、まずは一度相続に詳しい専門家に相談してみましょう。
「既に自分で遺言書を書いており、規格についてもきちんと調べて書いたはずだ!」とおっしゃるお客様が多くいらっしゃいますが、そのほとんどは「記述として自分の想いを実現できる形で書くことができていない」または「必須の事項が抜けていて規格を満たしていない」という状態だというのが現実です。
専門家の話を聞きに来たことで最悪のケースを回避できた事例も数多くありますのでぜひ一度専門家に相談することをおすすめしています。
遺言・相続に関する無料相談実施中!|まとめにかえて
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予約受付専用ダイヤルは092-761-5030になります。お気軽にご相談ください。
当事務所にご依頼いただいたお客様の声
当事務所にご依頼いただいたお客様の声を一部ご紹介します。
A様(詳細はこちら) 「とても良く説明していただいて理解しやすい事がうれしかった。 |
B様(詳細はこちら) 「司法書士事務所へおとずれるのは初めてで、緊張しましたが、森先生はとてもお話がしやすく、安心してお任せできると思いました。」 |
C様(詳細はこちら) 「他の司法書士事務所は料金体系があいまいなことが多いのですが、細かくプランなどがあり、分かりやすかったのでお伺いすることにしました。 |
相続手続きは、人によって状況も違い、進めていく中でわからないことも多く出てきます。
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相続手続きでお悩みの方は、一度お気軽にご相談ください。
当事務所の遺言書作成サポート
① まず何からはじめてよいかわからない ⇒ 無料相談をご利用ください。
※ 勝手に手続きを進めることはありません。納得いただいた上でご依頼いただけます。
② 遺言の内容は決まっているので、法的に問題のない遺言を作ってほしい ⇒ 自筆(公正)証書遺言作成サポート:50,000円~
③ 自分にとって最適な生前対策(相続対策)を考案してほしい(相続税が発生する方には特にオススメです) ⇒ 相続対策丸ごと代行サービス:150,000円~
遺言書作成サポート
まずは自筆証書遺言または公正証書遺言の作成をサポートする「遺言書作成サポート」の料金になります。
サービス内容最下部の「証人立会い」というものは公正証書遺言の場合に必要となるものですのでご参考にください。
サービス内容 | 費用 |
---|---|
遺言書作成サポート(自筆証書) | 50,000円~ |
遺言書作成サポート(公正証書) | 50,000円~ |
証人立会い | 15,000円/名 |
※ 公正証書遺言の場合、当事務書の報酬と別に公証役場の手数料が必要になります。
※ 財産の総額が5,000万円までとなります。5,000万円を超える場合は1,000万円毎に約1万円が加算されます。
※ 急を要する場合、通常の業務に優先して業務を行う必要がある場合は、報酬が一定割合加算されます。
相続対策丸ごと代行サービス
次に、以下のようなことにお悩みをお持ちの方向けのサポートサービスになります。
・自分にとって最適な生前対策(相続対策)を考案してほしい(特に相続税が発生しそうな方)
このようなお悩みをお持ちの方向けに、当事務所ではただ単に遺言書の作成を代行するような業務ではなく、お客様が後悔しない最適な生前の相続手続きを実施するためのサービスを考案いたしました。
上記サービスを「相続対策丸ごと代行サービス」という商品として用意させていただきます。
相続対策丸ごと代行サービスとは、お客様の生前の相続手続きに関する問題や課題を解決し、お客様の意向を達成するための最適な生前手続き(遺言、贈与、保険など)をサポートさせていただくサービスです。
相続財産の価額 | 報酬額 |
---|---|
2,000万円未満 | 15万円 |
2,000万円~4,000万円未満 | 財産額の0.5%+6万円 |
4,000万円~6,000万円未満 | 財産額の0.45%+8万円 |
6,000万円~8,000万円未満 | 財産額の0.4%+11万円 |
8,000万円~1億円未満 | 財産額の0.35%+15万円 |
1億円~ | 財産額の0.5%~ |
お問合せ方法
お問い合わせは下記フォーム、またはお電話からお寄せください。
この記事を担当した司法書士
福岡中央司法書士事務所
代表
森 浩一郎
- 保有資格
司法書士
- 専門分野
-
相続・遺言・民事信託
- 経歴
-
福岡中央司法書士事務所の代表を務める。平成11年2月に「福岡中央司法書士事務所」を開業。相続の相談件数約950件の経験から相談者の信頼も厚い。
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