【成年後見・遺産整理】父の相続で母が認知症を患っていたケース
状況
①Nさん(女性、50代)の両親は、自宅に夫婦2人で生活していましたが、母が認知症を患い、父がその介護をしながらの生活でした。子どもはNさんを含め3人いましたが、いずれも遠方に住んでおり、親の面倒を見ることは難しい状況でした。そのため、将来のことを考え、両親に2人で施設に入所することを勧め、希望するグループホームへの入居ができました。それからまもなく、父が他界し母が一人残されました。
②父の遺産としては、自宅の不動産と預貯金、株式などでした。相続人の全員で遺産についてどうするか話し合いをしなければなりません。また、グループホームに1人で入所している母のサポートをどうするかの問題もありました。
司法書士の提案&お手伝い
①まずは、Nさんの母に成年後見人をつけないと今後の手続きが何もできないことを説明しました。母は認知症で判断能力がかなり低下しているため、父の相続に関する遺産分割協議をするために、また、今後の母自身の財産管理のためにも成年後見人が必要です。成年後見人をつけるためには、家庭裁判所へ申立を行わなければなりません。成年後見人に誰がなるかの問題がありますが、Nさんが自分がなってもいいとの考えでしたので、Nさんを成年後見人の候補者として申し立てをすることを提案しました。
②父の遺産相続については、当事務所で遺産整理を最初から最後まで全てサポートできることを説明し、そのご依頼を受けました。
結果
①成年後見人の手続きと遺産整理の手続きを並行して進めることになりました。戸籍謄本等を取得して父の相続人を確定し、父の財産調査を行い財産目録を作成しました。また、成年後見の申立のために、母の財産目録も作成しました。その結果を子どもの全員に報告し、Nさんを成年後見人の候補者として家庭裁判所に申し立てをすることに了承をもらいました。
②当事務所で申立書を作成して家庭裁判所に申立を行いましたが、Nさんを成年後見人に選ぶかどうかは、最終的には家庭裁判所が決めることになります。本人の財産が多い場合には、親族ではなく専門家(司法書士や弁護士)を成年後見人に選ぶことが多いですが、今回は、母の財産や父の相続財産が多いこと、遺産分割協議をしなければならないこともあり、地元の司法書士が成年後見人に選ばれました。
③成年後見人の司法書士が母の法定代理人となり、他の相続人と父の相続について遺産分割の協議を行いました。母の法定相続分を下回る内容の遺産分割協議では裁判所が認めませんので、母の法定相続分以上を母が取得する内容での協議をまとめ、成年後見人が家庭裁判所の許可を得て、遺産分割協議が成立しました。この協議に基づき遺産の承継手続きを行い、全ての手続きが終了しました。
【まとめ】認知症の相続人がいる場合
認知症の方に相続をさせたい場合の問題点は?
相続が発生したら、亡くなった方の財産をどのように分けるか?を相続人同士で決める必要があります。
その分け方の方法として、遺言書がある場合はその内容に内容に従って遺産を分配することができます。一方、遺言書がない場合は、遺産分割協議を行って相続人同士で財産の分配方法について話し合いをします。
相続人に認知症の方がいらっしゃる場合は、判断能力がないということで遺産分割協議をすることができません。
しかし、遺産分割協議は「相続人全員」がその内容に同意しなければ無効です。つまり、認知症などで判断能力がない相続人の方でも、遺産分割協議から除外をすることはできません。
ではどのようにしたら、判断能力がない相続人がいる場合でも遺産分割協議を行うことができるのでしょうか?以下では、認知症の方に相続をさせたい場合の方法について解説いたします。
認知症の方に相続をさせる方法
認知症などで判断能力がない相続人がいる場合、遺産分割協議を行うために成年後見制度というものを利用するケースが多いです。
成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な方の代わりに成年後見人が財産管理や重要な契約を行ったり、身上保護をする仕組みです。
成年後見人を付ければ、認知症の相続人の代わりに遺産分割協議に参加してもらうこともできますし、不動産の売却の際にも相続人の代わりに合意を取ることも可能です。
成年後見制度については以下で詳しく解説しております。
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サービス内容 | 費用 |
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相続財産管理人申立 | 100,000円 |
不在者財産管理人申立 | 100,000円 |
特別代理人申立 | 50,000円 |
成年後見申立(同行なし) | 100,000円 |
※ 料金は、対象者1名様あたりの額となります。
※ 除籍謄本取得等の実費、手数料が別途かかります。
※ 財産の総額が3,000万円までとなります。3,000万円を超える場合は1,000万円毎に約1万円が加算されます。
※ 裁判所へ同行する場合、別途日当含交通費20,000円~がかかります。
この記事を担当した司法書士

福岡中央司法書士事務所
代表
森 浩一郎
- 保有資格
司法書士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託
- 経歴
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福岡中央司法書士事務所の代表を務める。 平成11年2月に「福岡中央司法書士事務 所」を開業。相続の相談件数約950件の経 験から相談者の信頼も厚い。