【遺産分割】不動産を売却して代金を分ける遺産分割(換価分割)のケース
状況
①Kさん(女性、60代)は、母親の遺産整理手続きの件で相談に来られました。Kさんの母は自宅に一人暮らしでしたが、その相続財産としては自宅の他にはほとんどありませんでした。相続人としては子どもが5人ですが、いずれも遠方に住んでおり、今後自宅に戻って生活することを希望している人は一人もいません。相続の件はKさんが中心になって動いていましたが、「自宅は売却するしかないと考えているが、相続人の間で不満が出ないようにするにはどうしたらいいのだろうか」というご相談でした。
司法書士の提案&お手伝い
①相談の内容からは、自宅の不動産を売却してその売却代金を相続人で均等に分けるしかありません(換価分割)。そのためには、原則として相続人5人全員の共有名義に相続登記を行い、共有者5人が売主となって売却を行うことになります。しかし、相続人は皆遠方に住んでおり、5人が共同して売買の手続きを行うことはかなりの手間がかかります。このような場合には、便宜的にKさん1人の名義に相続登記を行い、Kさん1人が売主となって売却を行うことが可能です。ただ、その場合には、税務署からはKさん1人が売買代金全額を受け取ったと見られてしまい、Kさん1人が税金(所得税)を負担しなければならないことにもなりかねません。それを防ぐためには、相続人全員が税金を負担することになる内容の遺産分割協議書を作成する必要があることを説明しました。
②こういったケースでは、素人では気づかないさまざまな税金の問題がからんで来ることがありますので、当事務所では税理士さんをご紹介して一度相談を受けてもらうことをお勧めしています。税理士さんへの相談の結果、今回はKさん1人の名義に相続登記をして売却の手続きを進めることに特に不利益はないとのことでしたので、その方向で進めることに決定しました。
結果
①当事務所で戸籍の収集を行い相続人を確定させました。Kさんからは相続人の全員に今回の方法を説明してもらい、事前にご理解をいただきました。そこで、当事務所で遺産分割協議書(換価分割で、自宅を相続人1人に相続させるが相続人全員が税金を負担することになる内容のもの)を作成し、相続人全員からの署名捺印をいただきました。それにより、Kさん1人の名義に相続登記を行いました。
②自宅の売却については、当事務所で不動産業者を紹介し、比較的短期間で売却が完了しました。また、税金(所得税)の申告については、税理士さんをご紹介し申告を行いました。その結果、相続人全員が均等に税金を負担することで手続きが終了しました。
遺産分割の料金
着手金10万円+相続財産の0.8%
※ 不動産の名義変更は別途報酬が発生します。
※ 遺産分割の期間が半年を超える場合は追加費用をいただく場合があります。
この記事を担当した司法書士

福岡中央司法書士事務所
代表
森 浩一郎
- 保有資格
司法書士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託
- 経歴
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福岡中央司法書士事務所の代表を務める。 平成11年2月に「福岡中央司法書士事務 所」を開業。相続の相談件数約950件の経 験から相談者の信頼も厚い。